30年ほど前、「京都幼児教室」を開設しました。幼児から中学生までを対象としていましたが、限られたスタッフで中学入試に向けての体制を整えることは難しいというのが現実でした。そこで、個人塾に小学4年生からお世話になることを前提に、それまでの間に基礎的な学力と学ぶ姿勢をつけていくことに重点を置いて指導し、保護者のみなさんにも協力をいただいてまいりました。国語指導では、読解を重視しながらもテクニックに走るのではなく、作品を味わい、自ら読もうとする心を育てることを目標としています。また、文法や漢字を覚えるだけでなく、日本語の持つ素晴らしさを知り、自分の思いを文章に出来るように、作文や日記、俳句作りなどにも力を入れています。算数指導では、まず線分図を描き、そこから自分で式を考えるという、一人ひとりのひらめきを大切にし、思考力を育てる指導を心がけております。 一方、いつのころからか京都にも大手塾が進出し、「先取り」という学習方法が定着し始めました。小学1年生からドンドン先取りをし、毎週、毎月の復習テストでクラスが変わっていくシステムです。一人ひとりの個性を見つめることなく、「先に進むことが勝ちなんだ」という風潮が保護者間にも流れました。保護者の方は必死になって、まだ考え方などもよく分かっていない子どもを引っ張っていきます。でもその子どもたちが小学高学年になった時、トップクラスに残っているのはたった1割〜2割であるのが現実です。これは、子どもが学ぶことに自立できず、目先の点数にばかりこだわるあまり、しっかりした基礎学力をつけることが出来ていなかったことの結果ではないでしょうか。 私たちは、自分の力で考え学ぶ子どもを育ててきました。残念なことに、愛情を注ぎ大切にして育んできた子どもたちを、小学3年生までしか見守ることが出来ないという悔しい思いでいっぱいでした。そんな折、「塾工房」の講師、スタッフのみなさんとお会いする機会を得て、共通した思い、同じような理念と方針を抱いていることを知るにいたりました。少しでも良い中学校に入るためのレールに乗せるのではなく、一人ひとりの個性を伸ばす進路を開いていきたい、そんな塾を目指してまいります。今、私は子どもたちを一緒に見守っていけるという嬉しさでいっぱいです。
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